隅田川(すみだがわ)

ストーリー

亡くなった子供の名が「梅若丸」。他人事ではないような気が・・・

都からはるばる東国まで、人さらい(中世には横行していた)にあった我が子の行方を尋ねて女物狂がやって来ました。隅田川に大勢の人達が集まり、念仏会が催されようとしています。女は舟を渡守に頼みますが、なかなか乗せてくれないので、業平の古歌などを引いてようやく乗りこみます。舟中で、川向こうの念仏会は実は我が子・梅若丸の死を回向するものと知り、葬られた塚へと急ぎます。打ちひしがれる母の念仏に答えるごとく、塚から梅若丸の声が…。しかしそれは哀しい母の幻想でしかなかったのです。

さらわれた子(あるいは、はぐれた子)を探すため狂女となって旅に出る母の能は「桜川」「百万」「三井寺」などいくつかありますが、ついには母子巡り会ってハッピーエンドとなる中、この曲のみ子供の死に対面するという、非常に悲しい結末になっています。

解 説

この曲は他の狂女物と違い、別れた親子の再会が「死」であるのですから言いようがありません・・・子供を捜す母が都から隅田川までやってきて、問答の末やっとの思いで乗った船の先で、大念仏が行われていました。それが自分の子のための供養なのです。やがて母も念仏をあげると中から自分の子の声が聞こえ、哀願すると母の目にしか見えない子供の姿が現れますが、抱きしめようとしてもどうすることも出来ず、夜明けとともに子供の姿は消えてしまいます。あんまりですネ・・・子方の時「南無阿弥陀仏」ばかり言うので役的に僕はあまり好きではなかったです。

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