梅枝(うめがえ)

ストーリー

諸国修行の身延の僧(ワキ)が、住吉で粗末な庵に宿る。僧が庵には似合わぬ見事な太鼓と舞衣装に目をとめ、いわれを問うと、女主人(前シテ)は「昔、天王寺の楽人・浅間と住吉の楽人・富士が宮中での出場を争い、富士は討たれてしまった。富士の妻は形見の太鼓を打って心を慰めていたが、ついに亡くなった」と語り、回向を頼んで消える。僧が法華経を読み上げると、富士の妻の霊が舞衣装で現れ、夫への慕情と形見への妄執を懺悔する。そして弔いを謝し、越天楽の唱歌「梅が枝」を歌いつつ舞い、想夫恋の鼓を打ち、ようやく愛着の心を捨てて、姿を消す。

解 説

現在物の物狂能「富士太鼓」の後日談です。「富士太鼓」では夫の死を聞き狂乱して敵とも言うべき太鼓を打って思いを紛らわそうとしますが、この曲では死んでもまだ断ち切れない夫への思いを静かに懐かしみつつ舞い、消え失せる幽玄曲という同じ題材で全く正反対の曲に仕上げられているところが特徴です。当然こちらの方が技術的にも難しいですよネ

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