能を「未来」の文化に・・・次世代に能を伝える

文化庁委嘱・伝統文化活性化国民協会伝統文化こども教室事業

阪神こども舞囃子教室(芦屋市)


 阪神間在住の小・中学生に仕舞・鼓を体験してもらうことにより、能の楽しさ、面白さを知ってもらう半年間(月2回)の講座です。
 半年間でどれだけ理解し、それを人前で発表することが出来るかと少し難しく考えましたが、そのような心配をよそに子供達は意外に話を聞いてくれました。まず稽古の始めと終わりには扇子を前に置いて正座してキチンと挨拶すること、能の簡単な歴史と扇子の使い方、能独特の歩行方法である「擦り足」をいたしました。よろよろしながらも上手にしていました。

 また能楽堂にて能楽鑑賞をいたしました。私がシテ(主役)演ずる「山姥」。小鼓は同じく講師の幸流・成田達志氏。初めて観る生の舞台を子供達はどう感じ取ってくれたかとても興味がありましたし、能を観て自分たちの現在していることへの認識と自覚の向上が出来ればいいなと思っていました。途中退席する子どももいるかと心配していましたが、全員が長時間じっと見ていたというのは驚きでした。また舞台前には普段は見ることの出来ない楽屋や鏡の間や装束の着付けを見学してもらいました。
 
 半年間の講座の締めくくりとして、発表会をしました。風邪を心配していましたが、引いた子もなく、朝からリハーサルをし、当日を無事迎えることが出来ました。能楽協会より紋付き袴を拝借し、保護者の方々も着付けから色々手伝っていただきました。先生も親子も「気合い」が入っていて、いい意味での緊張感が全体にあり、それがいい方向で舞台に出ました。今回はカナディアンアカデミーのホールにて色々な国の外国人高校生と一緒に発表するという、国際親善も兼ねた舞台だったのですが、一人も臆することなく立派に最後まで舞台を勤めることが出来て、会場から大きな拍手をいただき終えることが出来たのは子供達はもちろんのことですが、指導してきた者としてこれほど嬉しいことはありませんでした。今回感じたのは周りに「古典芸能」の何の環境がなくても子供はすぐに順応する能力があり、いかに早い時期に直接ふれて慣れることが大切かということを教えられました。私自身これからもこのような機会が多く得られれば幸甚だなと思いました。

 このこども教室のお話を初め聞いたときは、今の時代の子供達がどれだけ理解できるのか少し心配致しましたが、実際始めて見ると当初の心配が嘘のようでした。理屈でなく、真摯な気持で稽古をする様子に、色々な文化や芸能、芸術に親しむことの大切さや心を子供達に反対に教えられました。子供達は今回の体験を通して、今までの生活に少しだけでしょうが変化があることを期待しております。これを機会に日本独特の文化に興味を持ち、やがて大人になり社会や色々な世界に出られたとき今回のことを想い出し、自国の文化や音楽、芸術に胸を張って広く正しく世界の人々に伝えていただけたらと思います。

(16年度の活動報告書より)


 講座終了後、子どもたち、保護者の方々から感想やお礼のお手紙を頂戴しました。その一部を紹介します。ただし、個人情報の保護のため、お名前を出すことは控えさせていただきます。


 先生、半年間ありがとうございました。(中略)今年妹のひな人形で小つづみや大つづみをもった五人ばやしがいたのでうれしくなりました。発表会の時きものとはかまをきてとてもきんちょうしました。つづみはいい音がでたので、よかったです。しまいは、一人でやったのでとくにきんちょうしました。(後略)
*小学生・男子*

(前略)最初せんすがうまくひらけなかったけど、先生に教えてもらってからうまくいくようになってきました。先生のぶたいを見て、こん度はああやろうとか思うようになってきました。発ぴょう会のときはきんちょうしたけどなんとかうまいこといってうれしかったです。またこん度ならいたいと思います。ありがとうございました。
*小学生・男子*

(前略)能楽教室ではじめて、仕まいとつづみを見た時は、わたしにできるのかな、とちょっと不安に思いました。けいこは楽しくて、一回も休まないで続けられました。(中略)(発表会で)わたしの仕まいのじゅん番になった時、頭の中はまっ白でした。立ち上がった時、先生がはかまを引っぱってきれいにしてくれたので、少し落ちついてできました。つづみの時もすごくきんちょうしていたので声がすこし小さくなってしまいました。(中略)さい後の先生の舞台はすごくはく力があって、じーっと見てしまったので、目がいたくなるくらいでした。みんなで立ち上がってはく手しました。(発表会のあとの)クッキーパーティもたのしかったので、わたしはずっとわらっていました。でも、帰りの車の中で、なみだがたくさん出て止まらなくなりました。先生や、なかよくなれた友達と、もう会えないと思ったからです。先生、たくさん教えてくださって、ありがとうございました。
*小学生・女子*

 私が阪神舞囃子子ども教室を始めたのは、母がすすめてくれたからです。能や鼓は私にとってなじみが全くないものだったので、すすめられたことにさえとまどいました。でも、あまりやる機会がないものなのでやってみました。初めてのおけいこでは、なんと言っても先生方の声に驚きました。でも「私にできるかな」と心配になりました。(中略)十二月には、待ちに待った能楽鑑賞会がありました。特別に私たちは楽屋の見学をさせて頂きました。滅多に出来ない事なので自慢したくなりました。とても長い公演でしたが、(中略)山姥はすごい迫力でした。成田先生も梅若先生もいつもと違いました。終わった時は「もっと見たいな」と思うほどでした。学校などで、友達や先生に話すとびっくりされたり、「かっこいいね」と言われたりしてとてもうれしかったです。(中略)(発表会の日)とうとう私の番が来て、舞台に出てみると眼鏡を外しているせいと、暗いせいで客席が全く見えませんでした。そのためいつも通りに出来ました。鼓は、いつもと少し御謡の調子が違ったので、少しリズムがくるってしまいました。一応どちらも無事に終わりました。先生方のコンサートは凄い迫力で素晴らしかったです。たまに今でも御謡うたっていますよ。
*中学生・女子*

 私はおととしに、初めて「能」というものに、ふれました。とても楽しかったので、去年の発表会をする前からずっと、「今度もあるんだったら、やるぞ」と、決めていました。そして、今年も能をすることができました。能をやっている間は、すごく楽しくて心も明るくなりました。(中略)(発表会)次はつづみです。つづみは最後の方までなかなか覚えられず、特別レッスンをしていただいて、ギリギリでした。つづみは、舞の時より、きん張せずに出来ました。でも、ホールは大きかったので、精一杯声は出しましたが、後ろまで聞こえていたか、心配でした。両方とも、終わると、すごくほっとしました。精一杯出来てすごくよかったと思いました。(中略)私は、できるだけ、能を続けて、私が、先生に会う前の様に、能の世界を知らない人達に、「能は、こんなにすばらしいもの」だということを、知ってもらいたいです。先生、今までほんとうにありがとうございました。かんしゃしています。
*小学生・女子*

 能楽というと、敷居の高いもの・・・というイメージがありましたが、こういう機会に恵まれ、親子共々、日本の素晴らしい伝統芸能に目覚めさせて頂き感謝致しております。これからもますます活動の幅を広げられ、ご活躍されることと思います。本当に有難うございました。
*保護者の方*

 先日は、すばらしい発表会を経験させて頂きありがとうございました。はじめて着る袴に子どもも気持ちが引き締まった様で、最後まで「袴を脱ぎたくない!」と気に入っておりました。日頃、日本の伝統文化に全くふれることがないので、鼓や仕舞、すべてが新鮮で、意味はよくわかっていないながらも、見よう見まねで楽しませて頂いた様です。発表会では見ている親の方はドキドキしましたが、子供達は皆、とても落ち着いていて立派に演技している様子に感心しました。(中略)先生方の演目は迫力満点で、発声の奥深さや声量に圧倒されましたし、鼓の演奏、舞も素晴らしかったです。(後略)
*保護者の方*


また、西宮でも能楽、雅楽、文楽の子ども向け入門編ワークショップ「日本の音」を開催しています。

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